姫様とそれから当たり障りない話をしていると姫様の女中が呼びに来られて連れて行ってしまった。
「では、また…」
と言い残した姫様の言葉に頬が緩む
胸に手を当てると何やら暖かい気持ちになっていることに気付く。剣を握っているのとはまた違う……何とも表現できない…何とも経験したことのない気持ちだ。
私は徐(オモムロ)に空を見上げ、剣を抜く……
すると
「巧哉殿」
と城の侍に声を掛けられた。
『何だ?』
若い…いや、
よく言えば若々しく
悪く言えば落ち着きがない男だった
「先程、塀に向かって話されていた御相手とゆうのは…李由姫様でございますか?」
『そうだが?』
「李由姫様は……何か結婚のことは仰っていなかったでしょうか?」