ふと、
李由姫様が私なんかにそんな話をした理由が気になった。



『姫様は誰かをお慕いしていらっしゃるのですか? そのような事をお聞きになるなんて』

「私は………」



悩ましげにそして苦しげに“私は”というその言葉に胸が締め付けられるように感じる。

「この城に身分に…そして時代に縛られた身でございます。籠の中に入れられた鳥は鳥籠を選ぶことなど出来ません」


だから……と続ける声はやはり儚げ。
しかし姫様は何も続けることがなく黙ってしまいになった


『“人の心を縛るは心”と昔…教わりました。いくら身体が籠の中に入れられ城や身分や時代に縛られようと姫様の心は自由でございます。青空を恋うことも…誰かを慕うことさえも……縛られてなどございません』


―――鳥籠に入れられた美しい白い鳥は不幸なのであろうか?