<side 李由>
『…そうか』
鳥籠に入った鳥は逃げ出すことも、自ら他の鳥籠に行くことも出来やしない。ただ……無理やり新しい鳥籠に放り込まれるだけ
「まだ…決まった訳ではございませんが」
そう言う父上の遣いに
『分かった』
と笑う。
やはり…私は人形なのでだろう
「姫様…」
心配そうに、そして誰よりも悲しそうな顔で私を呼ぶ沙菜にさえも強がりを言って
私は庭に出る。
………巧哉様にこの話をしたら何と言うだろうか?
私の鉛のように重い、この気持ちを羽根のように軽くしてくれるのだろうか
そんなことを思い
日課になってきている…
壁一枚向こうの巧哉様の声を目を閉じて聞いていた。