「沙菜(サナ)、何をぼんやりと桜を見ているんだ?」
『いえ…ただ姫様のことを思い出していたんです』
「昔、お前が仕えていた城の姫様のことか?」
『はい。あの人は私の世界の全てでしたから』
寂しそうに見えたからでしょう……私の夫は優しく頭を撫で、姫様の話を良かったら聞かせてくれと言います。誰にも話そうともしなかったのに話す気になったのは目の前にある散りゆく桜のせい―――
あなた様も夫と一緒に
少し、
私のお話に付き合っていただけますか?
私の大好きな美しい姫様……李由(リユ)姫様と巧哉様の物語を
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