「佑…くん…?」

あたしは佑くんの意識が戻ったのだと、
ナースコールを押した。


佑くんは握っていたあたしの手を握り返し、
ゆっくりと目を開けた。


そして
佑くんの口が動いた。

あの優しい佑くんの声は聞けなかったけど

あたしには
ハッキリと聞こえた

“理都ちゃん”と……。


その後すぐ
医師と看護士さんが来て
あたしは病室の外で待っていた。

連絡を受けた佑くんの両親が来て、
ひたすら祈り続けた。


数分後、病室から佑くん担当の医師と看護士さんが出てきた。


医師が安心した顔で
「大丈夫です。意識が戻られましたよ」
と言った。


あたしの佑くんの両親は嬉しくて涙が出てきた。


急いで涙を拭き、
急いで病室へ入った。


そこには優しい佑くんの笑顔があった。


「理都ちゃん……」