2月も終わる頃…
あたしは無事高校を卒業した。

その3日後は
佑くん20回目の誕生日で
あたしは朝からケーキを焼いて病室に向かった。

病室に飾られたたくさんの綺麗な花束。

佑くんの友達から届いた花と
佑くんの両親が用意した花で輝いていた。


「佑くん誕生日おめでとう!」
あたしは笑顔で佑くんの手を握り
目をつぶったままの佑くんの顔をずっと見つめていた。


この日、あたしが作ったケーキを
お見舞いに来てくれていた佑くんの友達2人と
佑くんの両親と一緒に食べた。


それから面会時間が終わる20時までの3時間を
あたしは佑くんと2人っきりで過ごした。


「佑くーん、あたしの声聞こえる…?

佑くん寂しくない…?

あたしこれからもずっと毎日佑くんに会いに来るから
佑くんを寂しくさせないからね。

あたしはもう寂しくなんかないよ?

こうして佑くんと同じ時間を過ごせるから。

あたし寂しさを埋めようとばっかりしてたね。

今まであたしね、いっぱいいっぱい佑くんに助けられたんだよ?

だから佑くんが寂しい時は、あたしが寂しさを埋めてあげる。

ずっと佑くんの傍で笑ってるよ……」


その瞬間、
一粒の涙が佑くんの目から流れ落ちた…。