あたしはずっと佑くんの傍にいたいから
バイトを辞めようと思ったけれど、
あのデパートは佑くんと出会った場所であり、
今辞めたら店が大変なことになるため、
佑くんに会いに病院へ行ってからバイトに行くようになった。


年が明け、高校卒業の日が近付く。
あたしは進学しないと決めていたし、
就職のこともあったけど
今はそんなこと考える余裕なんてないし
考えたくもなかった。
就職なんてしなくてもいいや、とも思った。

でもきっとこのことを佑くんが知ったら悲しむだろうと思い、
考えに考えて就職先を探し始めた。



1分も1秒も
佑くんと離れたくない。

ずっと傍で
手を握っていたい。

佑くんと
同じ時間を過ごしたい。


佑くんが目を覚ましてくれることを祈り、信じ、
必死に働いた。

そんなある日、
バイト先から
“この春から社員として働かないか”
という話をいただいた。

あたしはもちろん
“宜しくお願いします”と返事をした。


佑くんがいなきゃきっとあたしは何も出来なかっただろう。

素直になることも…
自分の力で前に進むことも…

佑くんに出会い、
初めて素直に自分の気持ちを言えた。
そして佑くんは
過去のあたしを受け止めてくれた。

前に進む勇気と力を与えてくれた。

それはどんなに形ある物でも満たせない、

目に見えない愛あるモノだった。