綺麗な景色を目の前に
彼はこう言った。


「会いたい時会いに来てもいいかな？」


あたしはすぐ答えた。


「は…はい。」


彼はあたしの家の近くまで送ってくれ、
そっとあたしの手を握ると
手の中に何か紙を入れてきた。


「今日はありがとう」


と彼は車に乗り去って行った。


あたしの手の中には彼の携帯の番号が書かれた紙があった。


部屋に入ったあたしは
緊張感も全くないまますぐ彼に電話をした。


初めて男の人と過ごしたｸﾘｽﾏｽｲﾌﾞ。



その日から
週に２、３回ほど彼から連絡があり
夜中に会っていた。


毎日彼に会いたい…
ずっと一緒にいたい…


あたしはそんな思いを抱くようになっていった。



年が明け、いつものように彼から連絡があり
その日は２３時頃。

ﾎﾃﾙ街の近くを彼と歩いていると
１人自転車に乗ってこっちへ向かってきている佑くんを見つけた。


佑くんもあたしに気が付き、明らかに顔は驚いていた。


あたしは下を向き、佑くんとすれ違う前に別の道へと曲がった。



次の日、夕方からのﾊﾞｲﾄで佑くんがいた。


佑くんはいつもの笑顔がなく、何か考えているような感じだった。


ﾊﾞｲﾄが終わり、いつものようにﾃﾞﾊﾟｰﾄの裏口から出た時

複雑な顔をした佑くんが立っていた。


そしてあたしに気付き、

「理都ちゃん、ちょっといいかな？」