「すぐ、済むから
 ・・・・・・
 悪いけど、ここ
 開けておいて
 くれる?」

私の後ろに並ぶ女生徒に
貴方は優しく言う。

「はい・・・」

彼に手を引かれて
その場を離れる
私に聞こえる声。

「私、話しかけて
 もらえたぁ」

「いいなぁ~
 初めて、声
 聞けたねぇ」

低い声・・・・・・

彼は、このバスを
いつも利用して
いるの?

私は今、この時まで
彼の存在を知る事は
無かった。