座ったままのひさぎと
向き合う形で立つ私。

ひさぎは
もう一方の手も繋ぐ。
そして
見上げて私に告げる。

「さっきの奴・・・」

貴方の瞳を見つめて
私は問いかけた。

「昔の彼女?」

「ああ、半年前に別れた
 直接の原因は
 アイツの浮気・・・
 だけど、俺が悪いんだ
 アイツを必要以上に
 縛り過ぎたから
 息苦しくなったアイツ
 は俺と居ることに
 疲れて違う男の元へ」

悲哀の表情を
浮かべる貴方。

「ひさぎ
 まだ、彼女のこと
 好きなの?」

ひさぎは、首を
左右に振った後
私を見つめる。

「心配するな
 俺が好きなのは
 チトセ、お前だけ」

貴方は席を立ち
その腕に
私を抱きしめた。