この涙は止まらない。

この震えは、どうしたって止まらない。

「チトセ、怖がらないで

 大丈夫よ」

「ううん
 
 大丈夫じゃないの」

「えっ?」

「ムリだったの……

 私、ひさぎとできなかった

 こんな風に息苦しくてハァ、ハァ」

「チトセ……」

『触れ合うことはそんなにも大事?』

「触れあえない
 
 その一瞬で

 愛が、全てが、崩れてく

 ナギ……息ができないよ」

愛が壊れてゆく、悲しい、苦しい……

「わかった、チトセ
 もう話さなくていいから
 
 ゆっくり深呼吸して、スゥ-、ハァー」

なぎの呼吸に自分の呼吸を合わせる、私。

「スゥ-、ハァー」

「落ち着いた?」

「うん、少し

 ナギ、聞いてくれてありがとう

 ほんの少し、楽になったよ」

なぎは通学カバンから鍵付ダイアリー帳を取り出すと開いて、紙を一枚破った。

そしてその紙に連絡先を記して私の手に握らせた。