なぎの言葉を私は黙って聞いていた。

「今回のこと、チトセは何も悪くない
 もちろん彼も誰も悪くない

 こんなに苦しんでるんだもの
 
 もう、いいよ」

なぎの声、涙声になる。

「ううん、悪いの

 私が全部悪いから……」

私の中に宿った命は、消えてしまったんだ。

「チトセ」

「わたしね、こわいの
 
 この傷はどうしたって拭えない
 私は一生、囚われる

 でもね、自分だけ苦しいなら仕方ない
 
 別にいいの

 だけどこの傷は、過去に囚われた私は
 一番大切な人を傷つけてしまう

 彼は愛を温もりを求めてる

 だけど私は永遠に
 それを与えてあげられない

 愛する人とは結ばれない」

愛する人……

「ひさぎとは結ばれない!」

「そんなこと分からない」

「ううん

 私は一歩も先に進めなくて
 私はひさぎを傷つけるだけの存在

 ひさぎを愛していても
 怖くて抱き合えない」