「ナギ」

「子供好きの彼に、いつか本当の子供を
 この私が産んであげるだなんて勝手に
 思って、本当バカ、バカバカバカ」

「自分を責めちゃダメだよ
 
 ナギはバカなんかじゃない!
 
 愛した相手が悪かっただけ……」

「もう昔の話だから、いいんだけどさ」

そう言いながらも、なぎは何かを考えている。

『ヒサギに殺される覚悟なら
 とっくにできてるさ』

『その時は
 私も一緒に死んであげる』

「あ~あ、今思えば、赤ちゃんが居たら
 もしかしたら変わってたかな~
 
 あんなにチャンスがあったんだよ
 ムリやり作っちゃえばよかったよね」

『ムリやり作っちゃえばよかったよね』

なぎの言葉が、ナイフとなって私の胸を突き刺す。

そんな風に言うのはやめて……

「……そう簡単にはできないよ

 ナギの叔母さんが欲しくても
 できなかったように

 この手に抱きたくても
 ムリなことってあるんだよ」