「そうよ

 これでもね、知ったばかりの頃は
 それなりにやきもちだって妬いたわよ

 だってナギは若くてキレイでおまけに
 兄が愛してたあの人にそっくりだもの」

私と兄を捨てたあの憎い母親に、私はそっくり……

『お前も・・・
 
 俺達を捨てた
 お袋と同じ』

チクリッ痛むのは、私の胸に落とされた針の跡。

「でもよく考えたら他所に女を作られる
 よりはマシだと思ったのよ
 
 相手が身内ならさすがに子供までは
 作ったりしないでしょうから

 だって、あなた、子供好きでしょう?」

仁美さんの目から、とても悲しい涙が零れ落ちた。

『ヒサギ君、ナギちゃん
 
 見て見て、ここがあなた達のお家よ

 素敵でしょう?

 これからは、おばさんの本当の子供になってね

 私が二人を守るから!』

「君ってやつは……」