「あらっ、ナギ帰ってたの?

 学校はどうしたの?
 
 今、ヒサギに会わなかった?

 あなた、何か聞いてないかしら
 あの子が急に家を出るだなんて
 
 まあ、本人が一人暮らしをしたい
 と言うのなら仕方がない事だけど
 勝手な行動は困るわね」

「ヒトミ、私の話を……」

「ユウさん、話しちゃダメ!」

「……聞きたくないわ!」

話しちゃダメ!

聞きたくないわ!

仁美さんと、私の声が重なった。

仁美さんはさっきまでとは違って、私を冷めた目つきで見つめながらこう言った。

「泥棒猫」

驚く私に、顔面蒼白のユウさん。

「ヒトミ、おまえ知ってたのか?」

「ええ

 知らないと思っていたのは
 あなた達だけでしょう」

「いつから気づいてた?

 知ってて、おまえは……」