「だからって私はまだ
 貴女の世話になる気はないわ

 それに、あの男
 まさか今日も来るんじゃ……」

「柴田君はお母さんの体調を
 気遣ってくれてるのよ」

「偶然出会った同級生だがなんだが
 知らないけど年甲斐もなく、もう
 次の男なのかい」

「彼のことを悪く言うのはやめてください
 
 チトセ、ここはお母さんに任せて
 あなたは自分の部屋に戻ってなさい」

話を聞かれたくないのだろう母の言う通りに、自分の部屋に戻りかけた私は歩む足を止めた。

「ねえ、ママ

 あの人と再婚するの?」

「何言い出すの、急に!」

「昨夜、電話で話してたでしょう?
 私、偶然聞いちゃったの」

「それは本当の話なの?

 私とチトセに分かるように説明しなさい!
 
 貴女、いったい何を考えているの」

いつも優しい祖母が、すごい剣幕で声を荒げた。

「お母さん、怒らないで……」