「いいよいいよ、もう随分と楽だもの

 これだと明日辺り帰れそうだわ」

「何言ってるの、おばあちゃん
 駄目よ!

 まだまだ療養中
 安静にしてなくちゃ」

そこに現れたのは、母。

「そうですよ、お母さん
 
 荷物だって運び出しちゃったし
 向こうにはもう……」

「誰が頼んだの

 人の入院中に勝手なまねをして
 本当に貴女は困った人ね」

そう私が祖母の家を出た翌々日、久しぶりの一人暮らしに頑張りすぎた祖母はひどい腰痛に苦しみ動けなくなり病院に運び込まれ、そのまま入院を余儀なくされた。

そんな年老いた母を見兼ねた娘である私の母が、祖母の断りもなく勝手に家の荷物を運び出してしまった。

「荷物は元に戻してちょうだい

 いつになったら、アイタタタッ」

「ほらほら、気持ちではいくら大丈夫でも
 お母さんの体はもう一人暮らしには
 限界なんですよ」