「俺はお前を放さない」

そう、言い放つ貴方は
怖い程に美しい。

貴方は、握り締めた
私の手首に屈んで
口付ける。

そして、きつく吸う。

貴方は、私に

刻み込む。

「お前は俺のもの」

手首に、赤い痣が
浮かび上がる。

「泣かせたりしない」

貴方は壊れないように
優しく私を抱きしめる。

鳴り響く、予鈴の音。

「ほらっ、行けよ
 明日もあのバス停で
 待ってる」

私は、学校へと向かう
足を止め、立ち止まり
振り返る。

「どうした?」

「貴方の名前教えて?」

「ヒサギ
 ・・・
 キリヤ ヒサギ」
 
ひさぎ・・・
素敵な名前。

『待ってる・・・』