私達は冗談を言い合って本当のことから
目を逸らして過ごしていた。

だけど、それは、ずっとは続かない。

日時は、夕刻・・・

「ねえ、ひさぎ

 これからどうするの?」

「今日は、とりあえずホテルにでも
 泊まるわ」

「ホテルって高くない?お金・・・」

「金なら大丈夫、少しぐらいの貯金なら
 あるし・・・
 
 いざとなったらコイツ売るから」

ひさぎの手は、愛しいバイクに触れる。

「売っちゃうの、バイク?」

「ああ

 タクさんのところに持って行けば
 幾らかにはなるだろう」

「そんな、大事にしてたのに・・・」

「好きでも、さすがにコイツとは
 心中できない」
 
そう言って、ひさぎは笑う。

「ひさぎ、無理して笑わなくていいよ」