荷物を持って、ひさぎが現れた。

「チトセ、ごめん

 待たせたな」

彼女の姿はどこにもなくて私はほっとする

「もう、リホには会わないと話してきた」

「うん、わかった、早く行こう」

ここにいると息が詰まりそう。

彼女の気配を感じる・・・

バイクに跨るとひさぎは言った。

「天気も晴れたし、このままちょっと
 出かけようか?」

「うん」

走り出すバイク・・・

左ウィンカーが点滅する。

しばらく走ると海が見えてきた。

キラキラと輝く水面。

潮の香りがする。

漣が聞こえる。

波の揺らめきに、二人の心が晴れてゆく。