私はバカだから、今頃気づいたけど
ひさぎは昨日もその前も彼女と一緒
に過ごしてた。

テーブルの上に置かれた私の手をひさぎ
は取って、ぎゅっと握り締めてくれた。

「チトセ、大丈夫だから・・・

 俺はもう、お前を傷つけたりしない」

『泣かせたりしない』

私は今、泣いてる。

ひさぎのこと、私は信じられる?

「一緒に行ってもいい?
 
 彼女には会わない

 外で待ってるから・・・」
 
「ああ、そうしよう」

私はバカだから・・・

この愛を手放したくない。

私は一人、さっきの彼女と同じように
アパートの前に停められたバイクの傍
に立ち尽くして、ひさぎが戻って来る
のを待ってる。

早く、早く来て・・・