「・・・
 自分の想い以上に
 想える相手
 
 大切な人に・・・

 追いかけなくて
 
 いいの?」

黙ったまま、ヘルメットをなぎ
から奪おうとするひさぎ。

なぎはヘルメットを、ひさぎの
足元、地面に叩きつけた。
 
「無視するな、バカ兄貴

 不倫なんかしてる醜い妹を
 赦せないアンタの気持ちは
 わかる

 だけど、チトセに何の
 関係があるの?

 どうしてチトセを傷つける
 ようなことするの?」

ヘルメットを拾い、彼女に渡す
ひさぎ。

「リホ、行こう」

「う、うん」

ヘルメットを受け取る、彼女。