ひさぎは、手に持つヘルメット
を彼女、リホに差し出した。

受け取る事を戸惑う、彼女。

そのヘルメットを、横から
奪ったなぎは、悲しい瞳で
兄を見つめた。

黙ったまま、返せと手を
差し出す、ひさぎ。

「ねえ、お兄ちゃん
 
 いいの・・・?」

泣き声に代わる妹、なぎの
か細い声。

『お前にも
 自分の想い以上に
 想える相手
 
 大切な奴ができるさ』

『ヒサ兄は
 
 見つけたんだね』

『ああ』

「見つけたんじゃ
 なかったの・・・?」