貴方にとって、私は
それぐらいの存在だったんだ。

代替の利く、人間・・・

追いかけられる事のない私は
逃げる必要も無い。

そう、鬼ごっこと同じ・・・

もう、走る気力さえ

ない・・・

何も無い。


鞄を斜め掛けにした、ひさぎは
バイクへと近寄りヘルメットを
手に持った。

「ちょっと、待ってよ
 ヒサ兄」

ひさぎの鞄の紐を掴む、なぎ。

「ねえ、私の話
 聞こえてるよね?

 早くチトセを追いかけなよ
 って言ってるの
 
 早く・・・」