この間、千歳に取ってあげた
のは、この、ねずみの女の子

隣には、男の子。

「取ってやるか」

千歳のやつ
きっと、喜ぶだろう。

ぬいぐるみを取るために
ひさぎは、お札を両替して
たくさんの小銭をポケットに
入れる。

ジャラジャラという音と共に
俺は、UFOキャッチャーの
前に立ち、挑戦する。

小銭がどんどん無くなっていく
が、ぬいぐるみは頑固として
その場を動かない。

アームの握力が弱いのか
いい感じで挟み、少しは
持ち上がるのに、ぬいぐるみ
は、ずり落ちる。

「くそっ」

小銭が無くなっては両替を
繰り返し、時間だけが
ただ過ぎて行く。