「お兄ちゃん
 
 行かないで・・・
 
 ねえ、帰って来て
 くれるでしょう?

 ねえ?」

ひさぎは、振り向かず
黙ったまま、歩み出す。

開いたドアは、音をたてて
閉まる。

なぎは、その場に座りこむ。

「お兄ちゃんが

 泣いてる・・」

祐樹の耳にも聞こえる
バイクのエンジン音・・・

玄関のドアを開けた
なぎは見つめる。

バイクに跨り、夜の街へ
消えて行く兄の姿を・・・