ひさぎと手を繋ぎ、歩く世界

辺りは、少しずつ暗く
なっていく。

もうすぐ祖母の家の前。

貴方の手が放れそうになった

「ひさぎ、放さないで
 このままがいい」

「ああ」

冷たい貴方の手が好き。

貴方はさっき、私に
こう言ってくれた。

「触れ合える場所なら
 あるさ」

差し出される、貴方の手に
そっと触れる私の手。

「うん」

引き寄せられ、触れ合う唇

抱きしめあう、体と体

「これだけで、十分だ」