荒い、息遣いの合間に
聞こえる声。

「チ、トセ

 ・・・ごめん」

「ううん、それより
 ひさぎ、バイクは?」

「置いてきた・・・
 
 焦っての運転
 
 路地は、危ない」

愛しいバイクを残して私の元に
駆けて来てくれた貴方に私は
振り返り、抱きついた。

「ひさぎ、好き
 あなたが好きなの・・・
 
 でも、聞いて
 私には、貴方への溢れる
 想い以上に、消せない
 深い傷があるの

 その傷は、貴方を愛せば
 愛するほど痛むの

 過去の傷に囚われたまま
 の私は、永遠に貴方とは
 結ばれない」

結ばれない・・・