俯いたまま、顔を上げられない
私の手にひさぎの手が触れる

「ちょっと、来い」

「えっ?」

立ち上がる、ひさぎの手に
掴まれた私の手。

ジュースも置いたまま
私達は、会場の外へ出た。

そこは、お手洗いの傍に
ある喫煙場所。

誰もいない・・・

「ひさぎ、映画始まる」

私を見つめる、ひさぎ。

私は、さっと涙目を
ひさぎから逸らした。

「何で、泣く?」

「・・・何でもないよ」