彼の表情は
呆気にとられている。

「えっ、さっきの話
　聞いて無かったの？」

「はい、あっ
　ごめんなさい
　
　それから
　ごめんなさい
　
　私、誰とも
　付き合う気は
　無いので・・・・・」

「どうして？」

そう、問いかけたのは
低い声。

貴方は、私を
真っ直ぐに見つめる。

「どうしてって
　言われても
　・・・・・・」

何て言えばいいのか。

しばらく沈黙が続く。

上手な返答の言葉が
出てこない私。

堪りかねた貴方は言う。

「女が好きなの？」

「まさか、違います」

そう、即答する私に
貴方は、右側の口角を
一度だけあげて
笑ってみせた。

その表情は
あまりにも素敵で
私の胸はドキドキと
波打つ。

鳴り止まない鼓動。

私の胸

『キュン』と苦しい。

いつもの苦しさとは

全く違う。