ひさぎが私の顔を覗き込む

「チトセ、どうした?
 さっきから・・・」

「そうだ、私
 お金払ってないね」

私は鞄の中、ゴソゴソと
お財布を探る。

「金ならいいよ
 奢ってやる」

「いいよ」

きつくなる私の返答の声に
貴方は少しだけ戸惑っている

私は、その表情に気づかない
ふりを続けて財布を取り出し
開いた。

「いいから、しまえよ」

私の財布の上に、手を乗せる 
ひさぎ。

「ほらっ、しまえ」

ひさぎの声が少し怒ってる。