振り返らない母

千歳・・・重なる。

ひさぎは、遣る瀬無い気持ちに
占領される。

『どうした?』

男の声・・・

『何でもないわ』

何でも無い・・・

母と千歳の声が重なる。

俺の存在は、掻き消される。

苦しい・・・

苦しい・・・

俺は、いつまで過去の傷
トラウマに支配される。

私は、いつまで過去の傷
トラウマに支配される。

夜道を歩く、ひさぎの
携帯電話が鳴る。