ボロアパートの一室。

テレビの音・・・

お酒に酔い、テーブルに
顔を埋め、転寝をする男性
の傍らに寄り添い、優しく
髪に触れ、甘える母は言う。

『ヒサギ
 いつまで起きてるの 
 早く、寝なさい』

キッチンの冷たい床に
敷かれた布団。

咳き込みながら眠る、なぎ

『ママ
 だってナギの咳が・・・』

『煩い子ね、セキぐらい
 いづれ治まるわよ
 早く寝なさい』

『小父さんは
 今日も泊まるの?

 僕達の部屋は?』

母は何も言わずに
襖を閉めた。

閉まる、玄関のドア。