携帯電話が静かな部屋に
鳴り響く。

「出たら?」

「ああ

 ・・・もしもし
 もうすぐ帰るよ」

もうすぐ、帰るよ・・・

痛む、この胸・・・

「叔母さん
 帰ってるの?」

「みたいだよ
 着替えて帰ろう」

貴方の手が、私の頭を優しく
撫でたかと思うと、さっと
脱ぎ捨てられた洋服を手に取る

そして、急いで
シャツを羽織る貴方に
私は、とっておきの言葉を
告げた。

「ヒサ兄も帰ってるかなぁ?」

「さあ、どうだろう・・・」