家路へと向かう二人

繋ぐ手・・・

ひさぎは、何も言わない。

何も聞かない・・・

ただ黙って、私の手を
強く握り締める。

「ひさぎ、彼の事
 聞かないの・・・?」

私の問いかけに、貴方は
前だけを見つめ答える。

「今は、聞かない」

そして、私を見つめる。

「チトセ、お前が
 話したくなったら
 いつでも聞いてやる」

「うん・・・」

繋ぐ手・・・

今以上強く、痛い程に
貴方は私の手を握り締めた。