校庭につくと、
野球部が活動していた。
先輩達の白い練習着は
土のせいで茶色く汚れ、
校庭中に響くような
大きな声を出しながら
たくさんの汗をかいていた。
4月といえど、まだ
そんなに暑くない気温の中
ここまで汗をかいているのは、
先輩たちが練習を
一生懸命頑張っている
証拠だ。
私は、先輩達の姿に
とても惹かれた。
そして、その姿と共に
私の瞳にある人の姿が
映った。
「ねぇ、美衣ちゃん。あの人って‥。」
『ん‥?』
「あの人、1年だよね?」
先輩達の後ろで、
1年生のジャージを身にまとい ボール拾いをする、1人の男の子の姿。
他にも入部希望らしき男子は沢山居るのに、その人だけは
ボール拾いとはいえ、もう練習に参加していたのだ。