入学式、始業式が終わって、教室で先生が話し出すが、なかなか転校生が紹介されない。
私は(B組かな?)と思っていた。
A組は、学年の1位から20位の成績の生徒が集まったクラスで、上位だと滅多に入れ替わることがなく、去年度と同じメンバーだった。
1つ空いている席が在ったが、1人居ない生徒がいたから、その生徒が休んでいるのだと思っていた。
が、美羽の中では何故か、A組のイケメンと決まっているらしい。
姿を現さないのに痺れをきらし、先生の話を遮ってしまう。
「先生ー、転校生はまだですかぁー?」
「清水…。そういうのは後で聞くもんだが。」
顔がひきつっている。
1年の始まりだから、先生なりに熱く語っていたのだ。それを中断されて、いい気はしないだろう。
「まぁ、いい。確かに今日、転校生がくる予定だったしな。だが、本人の都合により、1日遅れることになった。」
「え――っ」
と言ったのはもちろん美羽。
美羽はいつもこんな感じだ。
他の生徒は笑っていて、クラスが明るくなる。教師はみんな、1年生のうちに美羽の性格を理解し、諦めている。
その美羽をたしなめるのが葵の役目。
「美羽。いい加減にしないと下校する時間が遅れるよ。」
「ああっ!それは駄目!」
「ならおとなしくしてなさい。」
「はぁーい。」
葵はクラスのお母さんの様な人でよく他人に注意をするが、この2人になると漫才の様になることがあるので、皆楽しんでいる。
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