虎の声が聴きたい──

24時間、声が聴けないだけでも長いと思うのに、海外ロケじゃなかなか電話できないじゃん!

そりゃ…虎の仕事が増えたり…いい仕事がもらえるのは嬉しいよ?だから今回の仕事だって良かったって思うけど…

やっぱり声だけでも聴きたいよ。

今、虎は映画のロケで中国に居る。多少の時差があるにしても…周りにはスタッフやマネージャーや…共演者もいるし。

多分あたしに電話は出来ないだろう…

帰ってくるのは一ヶ月後。

あ~…長すぎるよ!

一分一秒がこんなに長く感じるなんて。もう一生分待ってるみたい。

会いたい…
キスしたい…


今夜はライブだっていうのに朝から彼の事ばかり考えていた。

「セリカ?!真剣にやってるの?さっきのリハは何なのよ!」

控室で遠藤さんが、あたしに怒鳴っていた。当たり前よね。リハ中も上の空で、歌詞も振りも間違いだらけだった。

「ゴメン…」

「貴方のステージなのよ?わかってるの!?」

「うん…わかってる。本番ではちゃんとするから」

「わかってるならいいけど。最近、貴方おかしくない?何かあった?」

「な、何が?何にもないわよ?」

ちょっとドキリとした。