自然に
あたしは彼の【未来の予約プロポーズ】に返事した。

『うん…ずっと一緒に居てね…』

涙で瞳が滲んで虎の顔が見えない。それでも感じるの。

彼の体温
彼の匂い

腕の強さ
髪の感触…

あたしの全身で彼を傍に感じていた。

好きになって良かった

愛し合えて良かった

出逢えて良かった…


もう、この手を離さないから…
ずっとずっと大切にするから


『愛してる…虎之介』

誰が見てたって
多分あたし達だなんてバレないわ…

今、あたし達は普通の彼氏彼女で

愛し合ってる

ただ、それだけなの…

だから邪魔しないでね?


あたし達は抱き合う腕で隠しながら優しいキスをしていた。


──ずっと一緒に生きよう

貴方じゃなきゃ嫌なんだから。


初めて手に入れた恋が愛に変わる…その瞬間なんだ。

でも、多分ずっと恋もするよ。


彼との未来を手に入れる為ならば

引退したっていい

この声を失ったって構わない

それほどの価値が
あると信じているし確信してる

ねぇ

だから、貴方もあたしを大切に想ってね…





そのデートから数日後

虎之介は映画のロケの為に海外へ行ってしまった。