【琉嘉Side】

あれから私は、病院を辞めた。

あの事件は思わぬ方向に流れ、何故か不起訴。
セリカからの連絡でようやく理解できた。

私達は間違っていたのだと──そう思っていたけど

セリカの話で少し違うのだと思えた事で、心が楽になった。

私は二回程、小林仁奈に謝罪の手紙を送った。

毎回必ず返事をくれて、その都度、龍之介の写真も送られてきた事に彼女の器に尊敬し、感謝した。

母親の葬式には出られなかったけど後悔はない。最期に会えたし、それだけで良かった。

おばぁちゃんにはしばらく迷惑ばかりかけた。けれど事情を何度も説明して…私の味方になってくれた事が嬉しかった。

父親と少しだけ連絡を取り合っているのは内緒だけどね。

最近になって、彼らを許せるようになってきたし
理解しようと思うようになってきた。


大人って色々あるみたいだからね…




今も何故か
私は正己と一緒に居る。

全てを告白し、許してもらえないと思っていたのに
彼は許してくれた。

妻と正式に離婚した後、私と一緒に地方の小さな病院に勤めている。


結婚する気はないのだけど…一緒に居られる事や、一緒に仕事できる事が
当たり前で小さな幸せだった。