「多分、逃げてたんですね。龍之介を産む事だけ考えて…

そしてようやく龍之介が生まれたのに、居なくなった。私は天罰だと思いました」

「…」

「虎之介さんの人生を狂わせた天罰…私のワガママなツケ。彼も色々手を尽くしてくれましたが、やがて態度が冷たくなり、私はノイローゼになりました」

琉嘉が言ってた…彼女の様子。
それを思い出しながら彼女の告白を聞いていた。

「彼もきっと後悔していたんですね…セリカさんとの子供を死なせてしまった事。それからはケンカばかりするようになって

そこで私は彼とセリカさんが付き合っていた事を知ったんです」

「それまで彼はあたしとの事を黙っていたの?」

「はい…きっと一生黙ってるつもりだったんでしょう。あの時は売り言葉に買い言葉で…
セリカさん、ごめんなさい!全ては私が悪いんです!」

彼女は深々と頭を下げた。

あたしは…泣きながら虎之介の事を考えていた。

彼の選択は、誰かにとっては救いになったのは確かなの。

それがあたしじゃなかったって事

もっと他に選択肢はあったんじゃないかと思う一方で

これも運命だったんじゃないかと思ってしまうの。