ようやく一日の仕事が終わり、部屋に戻った丁度その時

森島さんから電話がきた。
あたしはビックリして慌てて電話を取った。

「も、もしもし…」

『セリカ?今、電話しても平気かな』

「うん…」

『あれ?テンション低い?何かあった?』

「ううん、あのね…今部屋に帰ってきたトコだったから驚いたの。何でわかったのかなって」

偶然だって事はわかっていたけど…どうしても良い方に考えを結びつけたかった。

だから感激してた…

森島さんは少し冗談っぽく答えた。

『テレパシー感じたんじゃないの?オレ一日中セリカの事考えてたから』

「あたしも…ずっと森島さんの事考えてた」

嬉しくて涙が出そう。

昨日の今日でそんな事あり得ないんだろうけど───心が通じ合ってたのかなって思った。

『ね、名前で呼んでくんない?'森島さん'じゃ付き合ってないみたいだよ』

もちろん気づいていた。彼があたしを'セリカ'と呼ぶようになった事。

「じゃ…なんて呼べばいいの?」

『虎之介でも、虎でも言い易い方でいいよ』

「え、じ、じゃ…虎でもいいのかな?」

『いいよ。早速呼んでくれない?』

「虎…明日、撮影あるんだよね…」