その日の夜は彼とあまり話をする事もできずに眠りについた。

…すっかり興奮しちゃってて眠れなかったんだけど。

明日は撮影がないの。

彼と会えないのが残念だけど…夜になったらまた電話をするって約束を交した。

それだけで幸せ。

──何を話そう?
たくさんたくさん森島さんの事を知りたいし、あたしの事を知ってもらいたい!

あたしに彼氏ができたなんて!
そして恋してるなんて!
こんなに楽しい気分は初めてよ!


──またもや寝不足のまま朝を迎えた。
遠藤さんが迎えにくる。

今日は移動が多いんだって…あたしは良いことを思いついた。

「ねぇ?遠藤さん」

「何?」

「移動の途中で少し買い物してもいいかな」

彼女は少し考えて答えを出した。

「少しならいいわよ。ドコに行きたいの?」

「…雑貨屋さんかな?」

「なぁに、何が欲しいのよ?」

「うん、ちょっとね」

とりあえず途中にあった雑貨屋さんに寄ってもらった。

時間がないから、じっくり選べなかったけれど

あたしはピンクのシンプルな手帳を買った。

──こういうのに憧れてたんだ。

最初に書き込んだのは


『彼氏が出来た日』


一生忘れない為に。