「鷺沼さんって…M?」

「アハハ、そうかもしんない!」

彼は笑いながら、龍之介を布団に寝かせていた。
あたしは、龍之介の寝顔をずっと見ていた。

「あたしは淋しいのは嫌。独りになるのも怖いよ」

独りで眠るのも
帰ってきて、誰も居ない部屋に自分で電気をつけて入ることも

独りで朝ご飯や晩ご飯を食べるのも

テレビを見ながら話しかけても誰もいない生活に戻りたくない。

──それに、ちゃんと龍之介を愛してる。

「じゃあ…今夜は一緒に居てあげようか?」

「え?!」

突然そう言われて、ドキンとした。

「なんてな。琉嘉ちゃんが帰ってこないって言ってたからさ。一人じゃ不安だろ」

「あ、あ…そう言う事か」

ちょっとだけ、ガッカリしてる自分に気づく。

…あれぇ?
なんでだろう…?なんでガッカリ?

「それとも、やっぱり帰った方がいいかな」

「ダメっ!帰っちゃヤだ!」

とっさにそう言ってしまってから、ハッとして…恥ずかしくなった。

今──…あたし何て言った?!

鷺沼さんの顔を見ると、'してやったり'みたいな顔をして笑っていた。

「…いいよ。今夜は泊まってくよ」

あたしはますます恥ずかしくなった。