琉嘉はそのまま外出してしまった。

鷺沼さんは琉嘉の後を追って外に行って…数分で戻ってきた。

「琉嘉…何か言ってた?」

「いや。今日はアパートに帰るって言ってたけど」

「そう…」

気にならないわけじゃない。
彼女が怒るのもわかるけど、でも…ね。

ようやく何かを手に入れられる気がしているの。

それはやっぱり子供な気がする。

龍之介と遊ぶ鷺沼さんに、あたしは話しを聞いてほしくて、話しかけた。

「やっぱり…龍之介は帰した方がいいのかな…」

「そうだね」

「本物の母親には勝てないのかな…あたしじゃ母親になれないってことかな…」

「そういう話じゃないだろう?最初から決めてた事だ。こんなカタチで実の母親から子供を奪うようなマネは…ハッキリ言って僕は反対だね」

彼はハッキリと、あたしを説教するように言った。

「あたしだって…それくらい…悪い事だってわかってる」

「龍之介の母親の立場になって考えてみろよ?死にたくなるくらいツラい事だってわかるなら───どうすべきか分かるよな?」

どうすべきかって?

分かるわよ!
何をすべきか
何が罪か
分かってるけど…

「だけどね…あたし不安なんだ…」