見るんじゃなかった。

予想はしてたのに、実際に彼女の姿を見てショックを受けた。

これが現実よ

彼女は痩せ細り一人で歩けないくらい衰弱していた。
毎日泣いているのか…顔もムクんでいて、この病院に入院してきた頃の面影はない。

すっかりあの笑顔は消えて、まるで別人だ…


私は彼女の私物などが散乱した部屋を片付けながら…森島虎之介の気配を探した。
毎日、会いに来てるはずよね?

──だけど、何も見当たらない。違和感がある気がして仕方ない。

唯一、彼女が手にしていたのは龍之介が生まれた時に撮られたらしい携帯の写メ。

彼女はそれをジッと見つめていた。

私はその光景を見て胸が痛くなる…

「小西さん、少し彼女を見ててくれない?私、ゴミとか捨ててくるわ」

「はい…」

私は少し気が重くなりながらも返事した。
彼女と二人きり…例え数分でも息苦しい。

締め付けられるような思いをしながら彼女を見ていた。

──これが現実。

セリカ…彼女のこんな姿、アンタなら耐えられる?

これが望み?

もちろん、私も共犯者だから偉そうには言えないけど

少なくとも、彼女をこんな目にあわせる為にした事ではなかったはずなのに…