あたしは自分の都合で子供を殺したの。

自分の将来の為によ

あの子に選ぶ権利なんてなかった。
この世に誕生するかどうかも決められなかった。

幸せになる権利もなかった。ただ、あたしの中に命を宿しただけの存在。

あたしは子供の命なんて二の次だった。最初は嬉しかったのに、虎之介に裏切られた途端、あの命は邪魔な存在になるなんて




『人形じゃないのよ!』





琉嘉が言ってた言葉を思い出した。

ドキンとしたのは多分、図星だったから。
自分の子供でさえ平気で殺せたんだもの…龍之介の事をどこかそんな風に思っていたんだ。それを琉嘉に見透かされた。

彼だって一人の人間なんだ。呼吸をしてるだけじゃない。
成長して、意思があって自分を表現してる。たくさんの権利があって生きている。

全てがあたしの思う通りにはならないし、無理に言う事をきかせようとしても反発したり。

あたしと何も変わらない。同じ人間なんだって───

知っていたつもりでも、全くわかってなかった。

…そんなに簡単じゃないのに。
そんなに簡単に子供は生まれてこない。


あたしは
今になってようやく気づいた。

自分が龍之介に対してした事を。