あたしは痛さと驚きで彼の顔を見た。

「逃げてきたんだな」

「…そう…だね」

「キミは最低な人間だね」

そう言われたけど、プライドがキズついても怒る気にはならなかった。
最低───な事くらい自分でわかっていたから。

「僕は優しい男じゃないから、キミが誰であろうと責めるよ!僕が言う筋合いではないけど…自分勝手すぎるんじゃないのか?」

「ごめんなさい…」

「被害者のつもりでやってたんだろうが、キミは立派な加害者だ。その責任も共犯者に擦りつけて逃げてくるような人間なんだな」

「…ごめんなさい」

「謝る相手を間違ってないか?キミが謝るのは子供と、共犯の彼女にだろ」

「…うん」

「どうしてこうなる前に誰かに相談しない?!僕にとは言わない!でも一緒にいた彼女に言わないでどうするつもりだったんだよ!」

「あたし…怖かったの。龍之介には嫌われてたみたいだし、頼まれた事も満足にできないなんて──琉嘉がどう思うか考えると怖かったし、自分が役に立たないなんて思いたくなくて

言い訳ばかり考えて…逃げてた…」

「自分の都合だけで、危うく子供を殺す所だったんだぞ?」


───そうだ…
あたしの赤ちゃんと同じ。