大体、何でなんの連絡もないわけ?

自分のトコのタレントが週刊誌に撮られたっていうのに!放置ですか!?

『はい、遠藤です』

仕事柄、彼女はすぐに電話に出た。
久しぶりに聞いた声。あたしはムカついていた。

「あたしだけど!」

『セリカ…貴女ね、今何処で何してんの?』

あたしの方が怒ってるのに、遠藤さんの不機嫌そうな声にますますキレそうだ。

「そんなのどうだっていいじゃない!何なの?あの記事は!事務所で止められなかったの?」

『出版社からは連絡あったわよ』

「じゃあ何で?自分の会社のタレントのスキャンダルなんてイメージダウンになるでしょ?それをほっといたの!?」

『…そうね。社長にも指示されなかったし』

「?!…何で?まだあたしはその会社のタレントよ?契約だって残ってる!」

あたしの抗議に遠藤さんはため息をついた。

『契約中のタレントが連絡取れないなんてどうなの?貴女は私からの電話は無視してたでしょう』

確かに。
このマンションに来てからほとんどの電話は無視していた。

それはバレたら困るからって事…と、もう一つ。

「どうせ仕事なんてないんだしって思っていたからよ」