「セリカ、おかえり」

「ん、タダイマ!龍之介は元気?」

「元気よ。ね?龍。ミルクもたくさん飲んだし、あんまりグズる事もなかったしね」

「そう。良かった」

セリカはいつもと変わらない様子だった。
途中で何もなかったようだ。

「電車に乗ったりして誰かにバレなかった?」

「平気だよ!何でよ?変装してんのに」

「そ、そうだね」

やっぱりあれで完璧な変装のつもりらしい。

でも、ただ家に帰ってただけだし誰かにバレたって問題ないわよね。




予想通りとはいかなかった一週間。
結局、龍之介を返す予定も狂ってそのまま延長────


私達はお互いに言えないモノを抱えたままの共同生活を続けた。

気になる事はたくさんあったハズなのに、たいした問題じゃないと思っていた。

普段なら判断できそうなものなのにね?
やっぱりこの状況は異常なんだわ…。


──そう思ったのは翌週末。

おばぁちゃんを母親の元へ仕方なく連れて行った翌日の週刊誌やスポーツ紙の一面を見た時。





『中森セリカに恋人!?昼間からラブラブ*ホテルデート!!』

一面を飾っていたのは一緒に暮らしてるハズのセリカだった。